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事件別 事例と解説長すぎる捜査に違法の指摘

当事務所の弁護士が過去に扱った事例を、弁護活動の内容と結果は変えずに、事案を一部改変してご紹介します。

高等裁判所が一審判決を破棄して減刑

 Aさんは18歳の時に被害者が亡くなる重大な交通事故を起こしてしまいました。
 Aさんは,現場に駆けつけた警察官に,その事故を起こしたのが自分であることを正直に認めたため,逮捕はされることなく,在宅のまま警察の捜査に協力しました。

 ところが,Aさんの事故の捜査にあたった警察官は,少年であるAさんが,将来,刑事裁判を受ける可能性が高いことはわかっていたものの,Aさんが裁判の前に成人してしまうと,少年法に基づいて裁判を受けることができなくなり,大きな不利益を受けることを理解していませんでした。 
 そのため,警察官はAさんの事件を検察官に送致するまで10か月もの長い期間を費やしてしまいました。

 そして,さらに悪いことに,Aさんの事件を取り扱った検察官も,Aさんが未成年のうちに裁判を受けることができるように迅速に捜査を進めることを怠り,それから6か月もかけてようやくAさんの事件を家庭裁判所に送致しました。

 家庭裁判所は,Aさんに刑事裁判を受けさせるために,わずか1か月で検察官に送致(逆送)する決定をしましたが,その時にはAさんの成人は目前に迫っており,結局,検察官がAさんを起訴したのはAさんが20歳を過ぎてからのことでした。

 Aさんが起訴された後,Aさんの国選弁護人に選任された当事務所の弁護士は,Aさんを被告人とする裁判員裁判において,捜査手続が遅延してAさんが裁判で少年法の適用を受けられなくなったことは違法であると主張しました。
 これに対し, 一審のさいたま地方裁判所の裁判官と裁判員は,捜査手続の遅延は違法ではないとしてAさんに検察官の求刑どおり懲役5年の判決を下しました。

 そこで,当事務所の弁護士は,Aさんと相談の上,この判決に控訴して,引き続き国選弁護人として,東京高等裁判所で開かれた裁判で,捜査遅延の違法性を主張しました。
 その結果,東京高等裁判所は,この主張を認めて一審判決を破棄し,Aさんの刑を一審の半分の懲役2年6か月へと変更しました。
 

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