当事務所の弁護士が過去に扱った事例を、弁護活動の内容と結果は変えずに、事案を一部改変してご紹介します。
証拠の矛盾を指摘し非行事実無し
A君は、B君のバイクに同乗して、通行人のお婆さんから、追い抜きざまにひったくりをしたという窃盗の非行事実で少年鑑別所に収容されていました。A君には、他にも非行事実がありましたが、付添人として面会した弁護士に、「このB君とのひったくりだけは、自分がやったことではない」と訴えました。
付添人弁護士が、検察官から家庭裁判所に送られてきた証拠書類を全てコピーして詳しく検討したところ、被害者は犯人の顔を見ておらず、B君や、事件後にB君とA君が被害品を確認していたというC君の話には曖昧な点や矛盾がたくさんあることがわかりました。
そこで、付添人弁護士が、裁判官に、これらの矛盾を指摘する意見書や、弁護人が関係者から聴きとった話を書面で提出するなどの付添人活動をしたところ、少年審判で、ひったくりについては「非行事実無し」との判断が下されました。
結局、A君は、本人が認めていた他の非行事実を理由に、少年院へと送られることにはなったのですが、審判後に鑑別所で面会した時には、目に涙を浮かべ「信じてもらえて、嬉しかったです」と喜んでいました。