刑事事件の弁護示談とは何か

 刑事事件について,もっとも多く受けるのが「示談をしたい」という相談です。
 そもそも「示談」とは何でしょうか?
 実は,「示談」という法律用語はありません。
 最大公約数的に「示談」を定義するとしたら「あるトラブルについて,その当事者の間で,金銭的な支払いを中心とした約束を交わすことで,そのトラブルがお互いの間では解決したことを確認・合意すること」といえるでしょう。

 したがって,刑事事件での示談というと,ある人が刑罰法規に触れる行為,例えば暴力をふるってしまった場合に,その行為の被害者,つまり暴力をふるった相手に対して,その被害の弁償金を支払うことによって,被害者から「私としては,これ以上,今回の暴力について,あなた(加害者)の責任を問うことはしません」と了解してもらうのが典型的な「示談」になります。
 刑事事件の加害者が被害者と示談をすることには,このように「被害者との間では,その事件を終わりにして,示談で約束した以上の責任を問われなくて済む」というメリットがあります。

 なお,示談の際に加害者と被害者が交わす約束の中には,金銭の支払いによる解決以外に,例えば,被害者から被害者に対する「警察に被害届を出さない」あるいは「警察に提出済みの被害届を取り下げる」という約束や,加害者から被害者に対する「連絡をしない」「家に近寄らない」という約束があります。
 もっとも,これらは示談の時に,メインとなる金銭の支払いによる解決以外に約束することもあるという,いわば「オプション」的約束です。
 したがって「示談=被害届の取り下げ」というわけではありません。

 示談をする際に重要なことは,示談をしたからといって,必ず刑事事件で責任を問われずに済む,というわけではないことです。
 示談というのは,あくまで,事件の当事者である個人と個人(あるいは会社等)が約束するものに過ぎないのであり,それによって,直ちに国家が犯罪者に刑罰を与えることができなくなるわけではないのです。
 もっとも,犯罪の中には,器物損壊罪や名誉毀損罪など,告訴がなければ,検察官が起訴することができないとされている罪(親告罪といいます)もありますし,そうでなくても,まだ起訴される前の事件であれば,被害者との間に示談が成立していることも考慮して,検察官が起訴しない処分(起訴猶予といいます)にすることは珍しくありません。
 そして,仮に起訴されてしまった場合であっても,被害者との間に示談ができていることによって,裁判所が下す刑罰が軽くなることが期待できますから,自分が他人に何らかの被害を与えてしまったことが間違いない事件では,示談をしたほうが良いと言えるでしょう。

 当事務所の弁護士は,暴行,窃盗,痴漢といった比較的被害が軽微な事件から,殺人,放火,強盗,強姦といった重大な事件まで,様々な事件で示談交渉にあたった経験を有していますので示談交渉でお困りの方は,どうぞご相談ください。

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