ご相談・ご依頼の前に弁護士の経歴は重要か

 相談や依頼をする弁護士を探す時,その弁護士の経歴が気になる方は多いのではないでしょうか。しかし,経歴を見る際に,どのような点に着目して弁護士を選べば良いのかは分かりにくいものです。
 
 まず,あまり意味がないと思われるのは「どのような学校を出ているのか」という点です。弁護士としての能力は,大学までの勉強によっては測れません。
 実際に,他の弁護士と仕事をしたり,相手にして戦ったりする中で,出身校ゆえに「優秀だ」とか「手強い」と感じたり,その逆を感じたりすることは,まずありません。
 それでも多くの弁護士が出身校をホームページに掲載しているのは(難関校を出ている場合には「優秀だ」と思ってもらいたい「下心」もあるでしょうが),多くの場合「みんな書いているから自分も書いていないと変に思われるのではないか」「相談者によっては出身校が同じという理由で親しみを持ってもらえるかもしれない」という程度の考えだと思いますから,単なる「自己紹介」として見ておけば良いと思います。
 
 次に「弁護士になった年齢」はどうでしょうか。若くして司法試験に合格しているとなると「優秀だ」と思われがちかもしれません。
 もちろん,若くして司法試験に合格すること自体は悪いことではありませんが,他の職業を経験して幅広い視野を持っていることも,業務内容によっては弁護士の「強み」になりえます。
 また,試験に合格するまでに長い年数が掛かっている場合も,「諦めない粘り強さ」があるとも言えますから,弁護士として交渉する場面や難しい事件に取り組む場合の「強み」かもしれません。
 反対に,早々に試験に通ったはいいけれども,世間知らず,苦労知らずだとなると,それが「弱み」になる可能性もありそうです。
 ですから「弁護士になった年齢」にも,ほとんど意味はないと思います。

 ただし「弁護士になってからの年数」には意味があります。
 弁護士の仕事は,もちろん知識も重要ですが「経験」がものをいう部分がとても大きいからです。
 他人のトラブルを解決するのが仕事である以上,その分野で「修羅場」をどれだけくぐってきたかで,その腕前に差がつくことは否めません。
 どんな弁護士も1年は365日,1日は24時間ですから,一定期間に経験できる事件の件数には限界があり,弁護士になってからの年数が長ければ,その分多くの経験を積んでいると推測できます。
 もちろん,事件との巡り合わせの結果,短期間に多くの「修羅場」を経験できる弁護士もいれば,長年弁護士をやっていてもそのような機会が少なかったという弁護士もいます。
 ですから「経験年数」だけを鵜呑みにするべきとは思いませんが,ご自分が相談や依頼をしようとする分野について,どの程度の期間取り組んできた経験があるのかは重視しても良いでしょう。
 逆にいえば,ホームページに,弁護士になった時期を明記していない弁護士は,もしかすると「経験年数」の少なさを見破られたくないのかもしれませんから注意が必要です。

 また,経歴の中に,何らかの団体への所属を記載している弁護士も良く見かけます。
 しかし,その団体の実情がわからない人にとっては,あまり弁護士選びの参考になるとは思えません。
 例えば「何とか研究会会員」とか「何とか学会会員」と記載されていても,果たしてそれがどの程度,活動実態のある団体なのか外部の人間には分かりませんし,仮に,その団体自体は充実した活動をしているとしても,単に会員というだけの弁護士が,その活動にどの程度貢献しているのか分かりません。もし「幽霊部員」のように,ただ所属して会報を受け取ったり,メーリングリストに登録されているというだけでは弁護士としての実力にはほとんど関係無いと思われます。

 所属している団体として日本弁護士連合会や,都道府県の弁護士会の「委員会」への所属を挙げている場合はどうでしょうか(当事務所の弁護士もそうです)。
 しかし,これも,その弁護士がどのような分野に関心を持っているを知る参考にはなるかもしれませんが,単に委員として名前を連ねているだけで活動実績がない「幽霊委員」の場合も少なくありません(当事務所の弁護士はそうではありませんが)。
 したがって,それだけで「その分野のエキスパートなのだ」とまでいうことはできないでしょう。
 もっとも,そうした弁護士団体の中の委員会の「委員長」や「副委員長」など,何らかの役職についている(ついていた)場合には,その委員会で実際に活動している(活動していた)ことが推測されますので,そのような記載については,ある程度参考になります。
 
 その他,国や自治体その他の公的私的な団体から委嘱されている役職を記載している例もあります。そうした役職を外部から委嘱されるということは,その弁護士が対外的にそれなりの信頼を得ていることの裏付けにはなるかもしれません。しかし「信頼を得ている」ということと「弁護士としての腕前」が,必ずしも直結しているわけではないことからすれば,あまり過大評価しない方が無難でしょう。

 いろいろと書き連ねましたが,弁護士を選ぶ時に大切なことは,ホームページの情報だけを頼りにするのではなく,自分で直接弁護士と会って話をしてみて,その弁護士が,社会人として当たり前の常識を備えているかということや,自分の質問に丁寧かつ率直に答えてくれるかどうかということ(特に,その分野についての「経験値」をきちんと説明してくれることは重要です)を重視することです。
 もし,ホームページから受けていた印象と違ったり,しっくりこない感じがしたりしたのなら,焦らずに他の弁護士にも相談してみるなどして,悔いのない弁護士選びをしていただきたいと思います。

 当事務所の弁護士は,初めて弁護士にご相談される方にも,各弁護士の専門分野や経験に基づいて,親切かつ率直なアドバイスをするように心がけています。
 また,他の弁護士に相談やご依頼をされた方への「セカンド・オピニオン」としての相談も広く受け付けています。
 弁護士選びにお困りの際には,どうぞご相談ください。
 

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