可能ですが、まずは今の弁護人との意思疎通を
「弁護人を替えたい」「いま依頼している弁護人に不安がある」という相談を受けることは珍しくありません。話を聞いてみると、たしかに弁護人の活動内容に疑問があるケースが無いわけではありません。しかし、活動自体には大きな問題は無いように思われるものの、説明が不十分であるために依頼人の方の誤解や不信を招いているのではないかと感じられることも少なくありません。そのような場合には、弁護人を替えようとする前に、今の弁護人に率直に気持ちを伝えて、意思疎通を図ることをおすすめしています。誠実な弁護人であれば、依頼人の不満や不安に対して、その原因を把握して、それが解消するように丁寧な説明をしてくれるはずです。
しかし、もし弁護人が、話に耳を貸さない場合や、納得のゆく説明をしない場合には、弁護人を替えることも検討しなければならないでしょう。
その場合に弁護人を替える方法ですが、現在の弁護人が国選弁護人の場合には、他の弁護士を私選弁護人として選任しさえすれば、自動的に国選弁護人は解任されて、弁護人ではなくなりますので、特段の手続は必要ありません。
これに対し、現在の弁護人が私選弁護人の場合には、別の弁護士を新たに弁護人として選任しただけでは、それまでの弁護人も弁護人としての地位に残り続けることになります。しかし、そのような形で新旧の弁護人が併存したままでは、適切な弁護活動をすることは困難です。そこで、以前の弁護人による弁護を必要としないのであれば、①その弁護人と相談の上、弁護人から「辞任届」を裁判所に出してもらうか、②被疑者・被告人から裁判所に「解任届」を提出する必要があります。もっとも、私選弁護人について、このように途中で辞任や解任する事態となった時には、費用の精算についてトラブルが発生する場合もありますから、その点については弁護人との間で交わした契約書の内容をよく確認して、弁護人とよく話し合う必要がることに注意してください。